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2019年4月18日 (木)

Flying Carpet

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恋の冒険は一目惚れから始まる。
(写真はアムステルダム)

20年ほど前になるか。人物モノ連載をしていた。写真撮影は(故)川西カメラマン。彼とのコンビは12年続いた連載中いつも一緒であった。取材を終えたあとは必ずビールを飲んで「反省会」をしていた。取材相手は各方面から依頼紹介された人たちが多くいた。好き嫌いは第一印象で決まる。イヤなヤツと感じた相手は川西も同じだったようで取材後、改めて相手に撮影をお願いしていた。(やっこさん話してる時の顔、調子ええことゆうとたけど、ウソぽいからええ写真にならん、そやから取り直したんや)とジョッキを空けた。また、気に入った素敵な相手では取材を終える頃までに撮影をすっかり終えていたのである。
彼との仕事でとくに印象に残っているのは「香港元気人物伝」である。香港が中国に返還された翌年。2泊3日で香港在住邦人を20組ほど取材した。帰国便の出発間際まで仕事をこなし、飛び込んだ機内でビールで乾杯したあと爆睡(^^)。1998年当時の香港空港は市内のど真ん中にあってタクシーで数10分ほどで行けたのだ。
人物連載では市井の人たちも記事にしていた。
ある日のこと。散髪のあとビール券が手元にあったので、それでウイスキーを買える酒屋を探していた。散髪屋の案内で酒屋に入るとまるで空飛ぶ絨毯に乗せられたように店員の前まで運ばれたのである。店員は20代で酒の知識が実に豊かだった。
「このワインはとっても美味しんですが、ぶどう畑の近くに野生の苺ができたので、この値段になってます」では、1本ください。
「ワインですがフランス産から始まってあちこちのワインに(浮気)をするんですけど、結局フランスに戻ってくるんですよ」男もそうだろうなあ。
「ワインでも売れないのがあります、そんなワインはラベルを違うデザインにして再販することもあるんです」女もそうだろうな。
ぼくはワイン棚からシングルモルト棚に移動しながら彼女にフランス映画の話をしていた。そして小説について語った。このような会話をするのは大学時代以来だ。ぼくは記事の趣旨を話したあと取材を申し込んだ。
さて、取材を終えた数日後、食事をすることになった。(取材のお礼だとかの理由をつけて誘ったのである)和食を食べ終わる頃「これ勝負服なんですよ、赤が」と話すから、ぼくは先日バリーで購入した赤のデッキシューズを履いてきていたので靴に視線を落としてみせた。
食事の後は行きつけのバーだ。彼女は入店すると「この店、ずうっと来たいと思っていたんですが、まだ早いかなと」恐縮した。
ほろ良い気分でバーを出ると空飛ぶ絨毯が待っていた。このあとぼくらは空飛ぶ絨毯に乗ってどこまでも飛んでいった。仏人作家テグジュペリが書いた「星の王子さま」のサハラ砂漠の上やペニンシュラホテルのトップバーより上の夜空から香港を見下ろした。
隠遁生活では一人ウイスキーを飲んでいる。
ビール券で購入したのと同じボウモア15年を飲むと、またぞろ空飛ぶ絨毯に乗せられた気分になるのであります(^^)。


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