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2012年10月26日 (金)

門真運転免許試験場

運転免許試験場を訪れた。免許更新である。

前回は近場の警察署で行なっていたが、今回は散策を兼ねて行ってみた。試験場付近はかっての面影が薄まっていた。かって、このあたりは「宿場町」というような独特な臭いが漂っていたのである。その臭いとは町がひとつの目的を与えられると染み付く風景である。
高校時代、サッカー部の相棒とバイクの免許を取りにこの町を何度か訪れている。当時のバイク免許は(大排気量車を使用した試験に合格した者には排気量制限なしの二輪免許が与えられた)とあるから、ぼくたちは大排気量車で実地試験したのであろう。車両の種類は記憶にないが、試験当日の光景は忘れられない。
ぼくたちは制服だった。
襟章にはサッカー部のバッジが輝いている。当時の明星高校サッカー部は国体10年連続出場であり、野球部も甲子園常連校だった。制服は7ボタンで大阪では知られた高校なのである。
さて、実地試験に挑む者はゼッケンをつけて出番を待っている。ぼくたちの前者は大工の棟梁か魚屋のオヤジさんのように威勢がよく人なっこい。
「オッ!兄ちゃんら明星やな。実地は緊張したらアカン。普段通りバイクころがしたらええねん。まあ、俺を見とき」
オヤジさんはゼッケン番号を呼ばれ観覧席から路上に堂々と降り立った。そして係官からヘルメット(当時はフルフェースではなかった)を受け取り両手でサッと被ったあとぼくたちに振り返った。
(おっちゃん、ヘルメット、前後逆さまや)
オヤジさんはバイクに跨り試験路上に出た。その瞬間、拡声器から「ゼッケン◯番、停止。車両から降りなさい」とアナウンスされたのである。
オヤジさんはヘルメットをその場に叩きつければサマになったかもしれないが、肩を落とし、うなだれ今にも泣きそうだった。
ぼくたちは笑いを堪えるのに必死だった。
いまでもこのシーンを思い出すだけで笑ってしまう。これが運転免許試験場の思い出である。
さて、免許更新は合理化され、矢印に従い書類を提出。視力検査と写真撮影のあとは講習を受けて免許交付で終えた。
オヤジさんのような威勢がよく気安い人には出会えなかった。多くの人は待ち時間をスマートホンいじりで過ごしていた。
京阪電車内でも同じ光景だったが、ただ一人、日刊ゲンダイを広げていた人がいた。その人とヘルメット前後逆さまに被ったオヤジさんが重なって見え、ちょっと嬉しくなった。

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